秋が深まり、標高によって山には雪が降る季節になった。風雪にさらされる登山では体温管理は命に関わる要素だ。低体温症を防ぐため、保温性のあるウエアを選ぶことは大切だが、一方で厚着をして汗をかいても体が冷える。ウエアによる適切な体温調節と、寒さに負けない食の補給方法について斎藤繁塾長が解説する。
10月上旬にもかかわらず、雪が積もり冷たい風が吹き付けた

 山での活動は、平地よりも標高が高いため気温は低く、季節を問わず体温管理が欠かせない。標高が100メートル高くなるごとに0.6度気温が下がるという目安があるが、これは湿度や風の強さ、日差しの影響で大きく変化する。

 例えば、山の稜線(りょうせん)では風が強く、風速1メートルごとに1度体感温度が下がる。山麓では気温25度とまだまだ夏の雰囲気の日であっても、標高2000メートルの山の上で10メートルの風が吹いていれば体感温度は3度となり、低体温症になる可能性が十分ある環境と言える。

 晩秋から冬を迎え、山麓の気温が10度を下回るようになれば、山の上では当然氷点下の時間が長くなる。

 低体温症を防止するには保温性が高く、防風機能のあるウエアを身に着けることが大切だ。さらに体がぬれて気化熱を奪われないよう防水にも気を使いつつ、汗をかき過ぎないよう小まめに脱ぎ着して体温調節する必要がある。併せて、体の熱産生能力を維持するためにはカロリーを摂取することや、温かい飲食物で体の中から温めることも重要だ。

風が収まったところで、けんちん汁や甘酒を調理し体を内部から温めた

 保温性能の高い水筒に入れて糖質を含んだ飲み物を持参したり、...